王朝和歌『古今集・新古今集』をモチーフにして
楽曲 「愛は面影の中に」 『新古今集・秋上』より
「歌詞」
夜空に きらめく星たちも いつか
光の狭間に 消えてゆく
流れる雲から 射しこぼれてくる
月も今夜は 哀しそう

この曲の歌詞は、新古今集の次の和歌をモチーフにして作った歌詞です。

    秋風に たなびく雲の たえ間より
      もれいづる月の かげのさやけさ

「現代語訳」
秋風に、たなびいている雲の切れ間から、
射しこぼれてくる月の光のなんと明るく清らかなことでしょう
出典「新古今集・秋上」
作者 左京大夫顕輔
"月のかげ" は月の光のこと
私はこの和歌がとても好きで、なぜかすごく惹かれるのです。
「秋の夜空に、こうこうと浮かぶ月。その清らかに澄みきった光が雲の間からもれて、金色の流れのように地上の世界を射している」
新古今の持つ美的空間、その静寂で幽玄な世界。そして、格調高い流れるような調べ。
秋の澄みきった空気とともに、その情景が頭に浮かんでくるようです。
楽曲「天女」の歌詞の最初の部分、"秋風にたなびく黒髪" もこの和歌の最初のところを使いました。そして、この曲「愛は面影の中に」も月あかりの中での別れ。そしてその想い出。そういう設定にしました。

又この曲は、楽曲「神風」と同じメロディーに別な詞をつけた曲です。歌詞だけを見ると普通のラブソングですが、その奥には別れる運命にあっても、なお深く人を愛する想い。そしてその人への感謝の気持ち。それを「神風」とは、また違った形で表現してみたいと思いました。
尚、この曲は女性の歌なので「海に眠る」のアレンジと演奏をしてくれた歌里 涼(うたさと りょう)さんに歌ってもらいました。
普通のラブソングではあるけれど、その奥にある深い想いや哀しみを歌で表現してほしい。という私の注文に、彼女の透明感のある歌声が見事に答えてくれたと思っています。

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